霞ヶ関を散歩ちう。 / photo by Kazuhisa OTSUBO
1円裁判を起こしのは、福岡市教育委員会で働いている男性、アタック・オブ・ザ・キラー・オレンジさん(49)。
訴訟を起こした現在も教育委員会に勤めています。
ご本人いわく、「げってん」。
博多弁で、「意地っぱりで変わり者」「偏屈」「へそ曲がり」といった意味です。
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ことの発端
福岡市では、当時お酒がらみの不祥事が続いているとして、2012年(平成24年)5月21日に、臨時的任用職員や嘱託(しょくたく)職員を除いた常勤職員に1ヶ月間の自宅外『禁酒令』を出しました。
訓示規定(言うだけで違反しても特に罰則は無い)という『禁酒令』でしたが、従わないものには「業務上の指導」をするという内容でした。
これに対してアタック・オブ・ザ・キラー・オレンジさんは、
「訓示規定ではなく、それ以上の強制力がある。勤務時間外は個人の自由のはずで、これは憲法で保障された自由権の侵害だ」
として、2014年7月4日に福岡市を相手取り1円裁判を起こしました。
気になる1円裁判の裁判費用
1円裁判の訴状には、「訴訟費用は原告の負担とする。」とあるので、アタック・オブ・ザ・キラー・オレンジさんが支払います。
印紙代 1,000円
裁判を利用する際の手数料で、提出する訴状に貼り付けます。
予納郵券 6,000円
裁判所が裁判に必要な書類を関係各位に郵送するためのお金です。
先払いで、残った分は還付されます。
弁護士費用
これも原告であるアタック・オブ・ザ・キラー・オレンジさんが支払います。
その他諸経費
裁判所へ出向くときの交通費など。
1円裁判のメリット
アタック・オブ・ザ・キラー・オレンジさんいわく、
私には何のメリットもありません。
市役所内での人間関係は悪くなりますし、訴訟費用だけでなく生涯賃金まで考えれば大損です。
自分ごとだから言えますが、空気を読まない馬鹿者のやることです。
ただ、私個人を離れて、もう少し大きな視点に立てば、次のことが言えると思います。
- もし、禁酒令が違法であることが明らかになれば、市はその過ちを正すことができます。
- もし、禁酒令が適法であることが明らかになれば、市民・職員の納得が得られ、市は今後迷いなく禁酒令を出すことができます。
今のように、どっちつかずであいまいな状態が、一番よくないと思うのです。
禁酒令1円訴訟に対して、多数の批判があるのは、承知しています。
禁酒令が適法であるとの判決が出たら、それらの批判は甘んじて受けたいと思います。
1円で訴訟できるの?
1yen / photo by Mokeneco
損害賠償請求で相手に請求する額は、自由に決めることができます。
なので、今回のように「請求額1円」でも損害賠償請求ができてしまいます。
ただ、請求額によって裁判所に提出する印紙の額が決まるので、あんまり高額な請求をすると、その分印紙代が高くなります。
それにお願いする弁護士さんへの手付金も、請求する金額によって変わってくるので、費用がかさんでしまいます。
高額にしろ、低額にしろ、あんまり無茶な請求額では引き受けてくれる弁護士さんがいないかもしれませんし。
通常は、今までの判例などを基に金額が決まってくるそうです。
ブログを発見
アタック・オブ・ザ・キラー・オレンジさんがブログで進捗状況を綴っています。
まとめ
今回のケースはお金云々の話しではなく、原告の考えに同調してくれた弁護士さんが引き受けてくれたのではないかと思っています。
単純な感想ですが、公務員というガチガチなイメージのある職場の中で、この裁判を起こしたアタック・オブ・ザ・キラー・オレンジさんは色んな意味ですごいと思います。
1円裁判が今後どんな風になっていくのか、個人的にとても楽しみです。