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福井県敦賀市、町の中心ある「氣比神宮(けひじんぐう)」

春日大社(奈良)、厳島神社(広島)と並び、日本三大木造大鳥居の一つに数えられる氣比神宮の大鳥居。

そんな氣比神宮の境内の至る所に見受けられる家紋は、なぜか3つ。

3種類も家紋を使っている神社をあまり見たことがないので、宮司さんに直接聞いてみた。

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日本三大木造大鳥居にも3種類の家紋

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※鳥居の各部位の名称は、神社参拝記というサイトで確認してほしい。

写真では立派な額で隠れてしまっているが、大鳥居上部の「島木(しまぎ)」と言われる部分に装飾されている金色の菊花紋章、桐花紋章、巴紋と3種類の家紋が使わてれいる。

氣比神宮の境内にある違う鳥居や建物もチェックしてみると、3種使われているところと、2種使われているところがあった。

今まで訪れた神社の中で、もしかしたら複数使っているところはあったかもしれないが、気になったので宮司さんに直接話しを聞いてみることにした。

宮司さんの回答の前に、まず氣比神宮で使われている3種類の家紋について見ていく。

 

使われている3種の家紋

菊花紋章 (きくかもんしょう・きっかもんしょう)

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菊花紋章は日本の国章として扱われ、天皇や皇室が使用している格式のある家紋。

身近なところでは、パスポートの表紙に載っているので、目にすることも多いかもしれない。

氣比の大鳥居やパスポートに載っているのは、十六菊(じゅうろくぎく)と言われる菊花紋章で、正式な菊花紋章の簡易版のようなモノ。

国章の菊花紋章は、十六八重表菊 (じゅうろくやえおもてぎく)と言い、16ある花弁と花弁の間に、さらに花弁が重なっているモノ。

一番最初の写真で、門に装飾された菊花紋章がそれにあたる。

桐花紋章 (とうかもんしょう)

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この桐花紋章も、菊花紋章と同じく日本の国章として扱われ、現在では日本政府の紋章となっている。

総理大臣などが記者会見する時、壇上に設置されている机には、この桐花紋章が装飾されている。

桐花紋章にはいくつか種類があるが、氣比の大鳥居で使われている桐花紋章は、日本政府と同じ 五七桐(ごしちのきり・ごしちぎり)と言われ、よく見ると、花の数が5・7・5となっている。

その他の桐花紋章では、花の数が3・5・3の五三桐や、下部の葉がギザギザしている五三鬼桐などがある。

500円玉の裏面のデザインとしても使われているが、どの桐花紋章なのか判別できないほど妙にリアルなデザインになっている。

ちなみに桐花紋章とと言えば、織田信長や豊臣秀吉が家紋として使用していたことでも有名だ。

下の写真は、一度は見たことがあるだろう織田信長の肖像画。

着ている裃(かみしも)に桐花紋章が確認できる。

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photo by wikipedia

巴紋 (ともえもん)

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氣比の大鳥居で使われているのは、三つ巴(みつどもえ)と言われる巴紋の一種。

多くの神社や、太鼓などでも目にすることが多い家紋だ。

まわっている渦の向きによって、右三つ巴、左三つ巴と呼ばれるが、時代や家によって向きの解釈がバラバラで、同じ巴紋、例えば上記写真の三つ巴も、左右どちらの巴紋か意見が分かれていた。

氣比神宮の宮司さんいわく、現在では時計回りの方向を右まわり、反時計回りを左まわりとするのが一般的になってきており、上記写真の巴紋は、右三つ巴だとのこと。

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神社情報

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氣比神宮
けひじんぐう

今から1300年以上前、大宝2年(702年)に建立されたと伝えられる由緒ある神社。

第二次世界大戦で神社建物のほとんどは消失してしまったが、日本三大木造大鳥居は奇跡的に空襲を免れ、昔のままの姿で残っている。

「奥のほそみち」でお馴染みの松尾芭蕉も訪れたことから、境内には芭蕉の像なども設置されている。

ちなみに、ネットやニュースなどでは気比神宮と表記されている場合もあるが、正しくは氣比神宮。

「氣」の漢字を使用するのが正しいとのこと。

地元では「けいさん」の愛称で親しまれている。

主祭神

  • 伊奢沙別命 (いざさわけのみこと)

御食津大神(みけつおおかみ)とも称され、主に食物を司る神様。

住所

  • 福井県敦賀市曙町11-68
    ふくいけん つるがし あけぼのちょう 11-68

※左上の「拡大地図を表示」をタップするとアプリが立ち上がり、現在位置と合わせて店舗場所を確認することができる。

福井の旅を楽しむためのグルメ・観光などの情報が、1つの地図上で手軽に確認できるようにした「索楽 saku-raku 福井マップ

TEL

  • 0770-22-0794

開門時間

  • 6:00~17:00

駐車場

  • 無料駐車場あり 敷地内 計70台ほど

※正面大鳥居横の表参道駐車場に10台ほど、本殿東側の東駐車場に普通車50台ほど、大型10台ほどの駐車スペースがある。

 

なぜ、3種の家紋が使われているのか

宮司さんに、なぜ3種類も使われているのかを質問をしてみたところ、下記の回答をいただいた。

菊の紋章は、皇室ゆかりの場所なので使うことが許されています。

桐の紋章は、「菊の裏紋」と言いまして、元々皇室が使っていた、とても格式のある紋章です。

現在では日本の政府の紋章となっていますね。

三つ巴は、八幡神宮ともゆかり深く、八幡神社の神文である「右三つ巴」も使っています。こちらも格式のある紋章で、左三つ巴はよく使われていますが、ここで使われている右回りは珍しいんです。

それから段々と日本神話の話しになっていった。

要は、3つの家紋を使うことが許されているので、3つすべてを使っているとのこと。

複数使ってはいけないなどの決まりは、特に無いそうだ。

ただし菊花紋章を扱う場合には注意が必要で、いくら扱うことが許されていたとしても乱用してはいけないそうだ。

宮司さんの話しの通り、氣比の大鳥居と本殿に菊花紋章は使われているが、神札授与所(お守りやお札などを販売している建物)には使われていなかった。

境内の中でも、ちゃんと使う場所を決めているようだ。

今回の氣比神宮のように、もしかしたら日本のどこかに3種以上の家紋が使われている神社仏閣が存在するのかもしれないので、探してみるのもおもしろいかもしれない。