[mobile] Why I've Started Carrying My Own Damn Bags
[mobile] Why I’ve Started Carrying My Own Damn Bags / photo by Taber Andrew Bain

スーパーのレジ袋有料化は、あっさりと世間に浸透してしまった。

レジ袋の消費を抑えることによって、石油の消費量が抑えられ、それがエコに繋がるという考えは今では常識となっている。

しかし、有料化が始まった当初は「エコにならない」「意味がない」ような声も出ていたが、実際のところはどうなんだろう。

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エコにつながる派

Globo verde
Globo verde / photo by Olearys

賛否評論あるが、まずはエコにつながる派の意見から。

京都大学環境保全センターの高月紘氏の試算によれば、焼却の際発生するエネルギーも含めて考えた場合、全ての国民が5年に一度買い替えるという設定で布袋やふろしきを持参し、レジ袋や紙袋を断った場合、資源(廃棄物)として年間約38万トン、石油エネルギーとして74万キロリットルが節約できると試算されています。

これは、日本中の家庭で消費する総エネルギーの1.3%相当となります。

CO2(二酸化炭素)の削減量で考えても、気候変動による異常気象を実感する今、地球温暖化の抑制のために、レジ袋削減は私たちに実践できる緊急課題です。

ごみっと・SUN45号

有料にすることによって、使い捨てのレジ袋の消費を減らして、何回も使えるエコバックなどにすれば、確かにゴミ自体は減っていく。

そして、エネルギーで考えた場合にこんなデータもある。

レジ袋はどれだけのエネルギーが使われているのでしょうか。

ある調査によれば、1枚(8.29g)あたり、664kJ※1のエネルギーを使い、約17mlの原油を使っています。

年間、1世帯平均で315枚のレジ袋を受け取っているとの調査結果もあり、エネルギーに換算すると、209,160kJ=209,160kW、原油換算すると、5.4リットルとなります。

209,160kWと言われてもわかりにくいので、例えるなら1,000Wのドライヤーを約5.8時間使い続けると同じくらいのエネルギーが使われていることに。

そう考えると、1世帯だけでも相当な量のエネルギーを使っていることに気づくことができるのではないのでしょうか。

※1kJ=1000J(ジュール)のこと。1kJの仕事は、1キロワットの装置が1秒間にする仕事。

IEEI 国際環境経済研究所

段々と一般人には難しい話しになってきたが、レジ袋を作るための原料である石油と、製造過程で発生するエネルギーを考えると、消費を抑えるに越したことはないということだ。

 

エコにつながらない派

What?
What? / photo by Véronique Debord-Lazaro

「レジ袋は石油の成分の中で、余り気味のものを使っていた」

レジ袋追放の材料学的意味

現在レジ袋の原料は、焼却しても塩化水素等の有毒ガスが発生しないポリエチレン製が主流となっている。

ポリエチレン製は理論上、完全燃焼させたときには水と二酸化炭素しか発生しない。

昔の製造技術では、用途が限られていて安価だったようだ。

安価というのは余り物でもあったし、またあまりエネルギーを使わずに製造できるということでもあった。

だから、ポリエチレンでできているレジ袋はとても環境によいものだった。

もちろん、現代の「専用ゴミ袋」もポリエチレン製だ。

誰かが悪知恵を働かせて「レジ袋は石油から作られるが、専用ゴミ袋は石油を消費しない」などと言っているが、これはまったくの間違いである。

このような歴史的背景から、ポリエチレンをレジ袋に使い、タダで消費者に提供するというのは、石油の用途としては大変、優れていた。

しかも、レジ袋で買い物をすると、ゴミを出すときにも使えるので、リユースの優等生でもあった。

エコバッグにはいろいろな材料が使われるが、ポリエステルなどのようにより性能の高いプラスチックや合成繊維が使われる。

値段はほぼポリエチレンの2倍であり、およそ2倍の資源を使う。

だから、全体から見ると、

  1. レジ袋でゴミを捨てていた頃と比較すると、専用ゴミ袋を使うようになって石油を2倍消費している。
  2. ポリエチレンのレジ袋の代わりに、ポリエステルのエコバッグを使うということは、より貴重な石油成分を使うことになる。

ということだから、環境という意味ではなにをやっているのだかわからない。

レジ袋追放の材料学的意味

たしかにレジ袋と言えば、どこの家庭でもゴミ袋として再利用している。

家庭で使うゴミ袋として必要だからという理由で、あえて有料のレジ袋を買う人もいるだろうし、家庭のゴミ箱用にと、わざわざ別でビニール袋を買っている人もいる。

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別の角度から

Barcelona viewpoint
Barcelona viewpoint / photo by Mislav Marohnić

エコにつながる派、つながらない派で石油の消費や二酸化炭素排出による温暖化へ意見があるが、レジ袋の有料化にはこんなメリットもある。

エコ意識の向上

レジ袋の有料化自体がエコに繋がっているかどうかは、それぞれの意見があるのでなかなか答えは出ないだろう。

しかし、日常で環境問題を意識する良い機会になっていることは確かだ。

レジ袋の散乱防止

安易に手に入るからこそ、その辺に散乱するレジ袋はこんな問題を引き起こしている。

街角で風に舞い、海に漂うレジ袋。

ごみが詰め込まれ、あるいはレジ袋だけで...。

自然界でいつまでも分解されないで散乱するレジ袋は、さまざまな問題を起こしています。

イタリアでは1984年、死んで打ち上げられた鯨の胃袋からレジ袋などのプラスチック製袋が50枚も見つかったことがきっかけとなりレジ袋有料化がはじまりました。

イルカやウミガメなどの海洋生物は海中に漂うレジ袋をクラゲと誤飲して死亡するケースが多く、日本でもレジ袋などのプラスチックの誤飲が原因でイルカが死亡するケースが後を絶ちません。

奈良公園でも、人間が捨てた食べ物の匂いの付いているレジ袋などのプラスチックを食べたシカが、食べ物が吸収できなくなり栄養不足で死亡するケースが増えているそうです。

レジ袋などのプラスチックは埋立処理しても半永久的に残ってしまうため、中国や台湾では「白色公害」と呼ばれています。

上海市では今年からレジ袋を有料化することが決定。

台湾でも、2001年の台風の際、下水道にレジ袋がつまり洪水の被害が拡大したことから、大幅なレジ袋の使用制限をはじめています。

日本でも大雨時にレジ袋が排水枡に引っかかると水害を誘発する原因となることが懸念されているそうです。

有料となったレジ袋は安易に手に入りにくくなり、ゴミ袋として家庭で使う貴重なモノになる。

そのため、むやみに捨てることは少なくなるだろう。

 

まとめ

結局は何をどうしようとも、人間がやることは環境にとって良くないということをつくづく実感させられる。

せめて、ウミガメなどの動物たちがエサと間違って食べないよう、ポイ捨てだけは絶対にしないようにしていきたい。